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一覧

■2011年
「源氏物語」三   紫式部(円地文子訳)
「ナポレオン狂」 阿刀田高
「金閣寺」 三島由紀夫
「苦役列車」 西村賢太(第144回芥川賞)


■2010年
「それから」 夏目漱石
「二十四の瞳」 壺井栄
「二十歳のころ I 1937-1958」 立花隆 
「二十歳のころ II 1960-2001」 立花隆
「二十歳の原点亅 高野悦子
「鴨川ホルモー」 万城目学
「恍惚の人」   有吉佐和子
「新釈 走れメロス」 森見登美彦
「知っておきたい日本の仏教」 武光誠
「知っておきたい仏像の見方」 瓜生中
「仏像がよくわかる本」    瓜生中
「見仏記」      みうらじゅん・いとうせいこう
「百寺巡礼」 第一巻 奈良   五木寛之
「源氏物語」一    紫式部(円地文子訳)
「源氏物語」二    同上
「終の住処」    磯崎憲一郎(第141回芥川賞)

「刺青」「秘密」「母を恋ふる記」「友田と松永の話」「吉野葛」「春琴抄」 谷崎潤一郎
「頭のいい雨の木」「不意の唖」(再読) 大江健三郎

■2009年
「魔の世界」 那谷敏郎
「バロック美術の成立」 宮下喜久朗
「こヽろ」 夏目漱石
「月と6ペンス」 モーム
「大河の一滴」 五木寛之
「ポケットに名言を」 寺山修司
「ポトスライムの舟」 (第140回芥川賞) 津村記久子
「江戸川乱歩傑作選」 江戸川乱歩
「寺山修司 過激なる疾走」 高取英
「マンガ入門」 しりあがり寿
「新入社員諸君!」 山口瞳
「星の王子様」 サン・テグジュペリ(河野万里子訳)
「犬を連れた奥さん」 チェーホフ
「未来をつくる図書館」 菅谷明子

・全集など
「眉かくしの霊」   泉鏡花
「魚服記」「雀こ」「待つ」 「パンドラの匣」  太宰治
「奉教人の死」「杜子春」   芥川龍之介
「聖家族」「よきサマリア人」「グラ爺や」「落穂拾ひ」   小山清


★以下2008年までのまとめ。長いので、たたみます。
 よろしければどうぞ♪



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苦役列車

文藝春秋 2011年 03月号 [雑誌]文藝春秋 2011年 03月号 [雑誌]
(2011/02/10)
不明

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第144回芥川賞受賞作です。2名の方のW受賞のうちの1作になります。
前評判から、久々に積極的に読みたいなと思えた作品です。
作者の西村さんの経歴に興味を抱かずにはいられません。

私小説の形を持った本文で、人間の本質的な欲望を赤裸々に描いている割に「告白」とはほど遠く
事実を淡々と語っている様子。西村さんの文体は少し前時代的なものがあり古風な割に
所々に出てくる口語体や現代語が新鮮で面白いです。
山田詠美が「おそば」「ぼく」という言葉遣いを指摘していますが、確かにこの主人公は
愛すべきダメ人間。自分で蒔いた種を「苦役」と称する自己陶酔。
しかし、友達が欲しいと甘える気持ちが誠に可愛らしく、そのエピソードには誰しもが共感してしまうと思います。
物語後半の日下部とその恋人の無神経な会話がにむかっと来てしまうあたり、
どうで私は主人公側の人間であると実感。
 

金閣寺

金閣寺 (新潮文庫)金閣寺 (新潮文庫)
(2003/05)
三島 由紀夫

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金閣寺放火事件を元にした小説です。
美を求めた金閣を焼くまでの内面的な心の変化と、その「行為」に至るまでの経過を描いた作品です。
私は三島由起夫の小説は「剣」という短編を高校生の頃に1度、
以後読む機会もなく、本書がほとんど初めての作品です。

久しぶりに読むのに苦労する小説に出会ったなーという印象。
有為子、鶴川、柏木、老師、ユニークな登場人物に引けを取らぬほどの
個性をもった主人公。彼の美や世間に対する考え方が、高尚というか純粋無垢といいますか。
鶴川の自殺の告白や、柏木の女との関係など小説として1つ1つのエピソードは楽しみましたが
全体的に難しくて、もっと三島由起夫の小説を読んでから何度も「金閣寺」ってなんだったのかなーと
考えたいなと思います。それほど、市井の者には理解に苦しむ名作かと。
 

山月記

『山月記』
面白さ★★★★★

ただの思い出話になってしまうんですけど、これは高校時代、国語で習いました。
そして私にとって、初めての中島敦との出会いになります。

最初の漢文調に「うげっ」となったのですが、重要なのはそこではないと踏んで読み進めていくうちに、
気づいたら読みおわってました。
「何て作品なんだーーー!!」と教室中を全力疾走したい気分になりました。
まさかこんなにも面白い作品があったなんて。
百聞は一見にしかずです。ぜひ皆さんもご自分の眼でお確かめ下さい。
 

夫婦

『夫婦』

面白さ★★★★☆

短編小説。
中島のパラオ滞在の体験、それが色濃く出ている南島譚シリーズの一つ。
南の島の伝説を、中島らしい筆致で書いてます。話としては純粋に面白かったです。
 

盈虚

『盈虚(えいきょ)』
★★★★★

短編小説。久々に面白かった作品。相変わらずの漢文調です。
題名の「盈虚」は、驕れる平家は久しからずの「盛衰」の意味ですね。
やめときゃいいのに復讐劇を展開する主人公が人間らしくて良いじゃないですか!
ただしちょっとオチが読めてしまったのが残念。
まあ、それを差し引いたとしても、とっても楽しめる作品です。
 

李陵

『李陵』
面白さ★★☆☆☆

中編小説。名編といわれるので期待して読んだら、1回じゃ難しすぎて理解できなかったー!!
3人の主人公、それぞれの人生観について描かれています。
個人的には李陵には共感できず、おおっと思ったのが司馬遷。かっこよすぎじゃないかいなぁ。
忘れたころにもう一度読み返したい作品です。
 

個人的な体験

『個人的な体験』
面白さ★★★☆☆

この作品を読んでからというもの「鳥」という感じに「バード」というルビ、
それがないと違和感があるようになってしまいました(笑)。
作品が描かれた時期としては、初期から中期に移行する時期だと思います。

身体的障がいのある赤子が産まれてしまって、その現実から 逃れようとする青年。
すごい暗くて嫌な雰囲気が漂う作品ですが、まさに人間というものの現実を
リアルに描いている点で、私たちに無関係のものとは思えないものとなっています。

青年は、赤子を殺そうとなんとか病院から連れ出します。
そんな自分に恥じ、妻と妻の母にひた隠しにするさま、世を憂い、自分以外の赤子の父親ををにくみ、
現実と夢のはざ間を彷徨する主人公がなんとも哀しい。

しかし、最後の最後で「赤ん坊を殺して守る自分というものはあるか?」
「そんな意味のある自分だったか?」
と、赤ちゃんを病院へ連れ帰して、子ともに生きることを決断します。

結果として双頭の赤ちゃんは、ヘルニアではなくただの肉瘤である
ことが分かり、手術は成功し、閉幕…。
なんとなく清水の舞台から…なんて思わせますが、これもまた現実的であるなとかも思いました。
なんとも最後までハラハラさせる小説です。
 

芽むしり仔撃ち

『芽むしり 仔撃ち』
面白さ★★★★☆

長編小説。鬱屈した実存を描く初期の大江を脱却して
根源的に人間を問い、生への希求を望む中期の大江へ移行する中の
まさに初期最後の作品*『芽むしり 仔撃ち』。
同時に、大江の初の長編でもあります。

梅図かずおの『漂流教室』のように、子供が疫病の感染者だと
疑われ、子供たちだけとある村に残されます。
一時的に移民した大人は、バリケードを作ったり、それを乗り越えてきた
子供に暴力をふるい追い返すなどします。

『漂流教室』と違うのは、閉塞状況下における無力感がつのる中で、
生存競争は行わず、むしろ協力しあって生きていくたくましさがあるということ。
そんな子供達に、大人たちは容赦ない迫害を続けます。
芽をむしり、仔を撃つ。

クライマックスのシーン。
激しい空腹状態の子供らを食べ物でつって自分らの罪を帳消しにし、
都合のいいように状況収拾をはかる最低な大人には言葉もありません。
弟に見放され、恋人には死に別れ、友達にさえも裏切られる。
そんな最悪の状況下、自分の信念を頼んで悪を恥じる主人公の姿には感動を覚えずにはいられません。
最後。彼は捕まったのでしょうか。
そんな想像は、するに及ばない気がします。

 

セブンティーン

『セブンティーン』
★★★★★

中編小説。17歳の左翼学生が右翼へ転向するさまを描いた作品。
失敗や、不安や、恐怖、自意識過剰など、青年をとりまく全ての問題を
《右》の思想により解決して、恍惚に浸るシーンで幕を閉じる。

書き出しがとても官能的で「おやおや?」と思い、
その題名とで、思春期の,身体と精神の二次成長を描くのかなと思いました。
(実際は右への転向です。すごいんだこれが。)
クライマックスの筆致が素晴らしく、伏線の使い方が上手いです。
新東宝などの登場人物も魅力的で、普通に好感が持てます。
(後半にかけて主人公への接し方が変わるのも面白い)
何だか続編があるらしいのですが、全集には載っていませんでした。